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THPコースの学びとTHPとしての役割・課題
 リハビリテーション療法学専攻 M2

【THPコースの学び】
 少子高齢化社会が急速に進行していく日本の現状において、医療・福祉が担うニーズは多種多様になり、現時点で医療における環境面の急速な整備のみならず、多面的に対応することが可能な優れた人材の育成も注目されています。名古屋大学大学院で開始された、THPコースは、まさにその一画を担うものとして誕生したものだと考えています。
 THPについては、厚生労働省が昭和63年に「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」に基づく労働者の心身両面にわたる健康づくりの取り組みとして行われたのがはしりではないかと思われます。その中でのTHPは「トータル・ヘルスプロモーション・プラン」の略称とされています。医療で考えるものと同様に、(1)健康保持増進計画の策定、(2)健康測定、(3)健康指導、(4)実践活動などから構成されております。そこにはTHPを支援する専門スタッフがおり、対象者の健康保持増進の措置が、普及・定着することを目的としています。
医療・福祉現場におけるTHPも同様の理念が掲げられており、幅広い知識と行動力が求められます。THP養成コースにおける各講義では、様々なことを学び得ることができました。1年目の前期においては、THPの役割と課題を理解するだけでなく、地域の保健医療・福祉政策についての動向を学び、また、統計学的基礎知識を得るなど求められるものが幅広いことを実感いたしました。THPは単なるプランナーではなく、多くの情報を得る手段を心得ており、尚且つ、その情報を有益に利用する必要があると考えられます。そのため医療情勢や地域における最新の変化を常に見逃すことなく捉えられることができることが、良きTHPの第一歩であると考えられます。後期の特論では、在宅療養家族への包括的サポート方略の修得と高齢者リハビリの評価援助能力の修得を目的に各専門講師の取り組み等を聞くことができました。医療・福祉現場における多様な分野を考える上で、非常に大きな知識になった反面、自分が自らどのようなことに特化して関わっていくことができるかということも考えておく必要があると感じました。2年目の演習は、その集大成として実際の現場の問題を多職種による模擬カンファレンスという形で検討する場を得ることができました。各専門分野により考える方向性がことなり、自分の持っているプランのイメージを凌駕した考え方を必要とすることが分かりました。また、カンファレンスを実施する重要性はもちろんのこと、どのようにプランをまとめていけばよいかなど、その進め方の難しさも痛感いたしました。模擬カンファレンスを通じて、専門性を生かした多職種連携スキルを学ぶことができました。
 2年間のTHP養成コースを受講することにより、今までの自分のフィールドで学んでいた視点よりも幅広い考え方をすることができるようになった実感だけでなく、何に重みをつけてまた、誰のためにどのようなことができるかを常に考えていくことが必要であると感じました。また、そのためには、単なる情報の収集及び検討だけでなく、それぞれの職種の能力を最大限ひきだすコミュニケーションスキルを身につけること、また自己表現をしていくことで良きTHPに成り得ると考えます。

【THPとしての役割・課題】
・THPとしての役割
 THPの役割として考えられることは、医療福祉の分野に精通した知識を持ち、なおかつ小児期、高齢者や終末期ケアにあたるすべての対象者に対して、在宅での支援方法、リハビリの援助計画の立案やチーム医療における中心的役割を担うものと考えられます。そのためには地域行政の動向等の情報を収集するのみでなく、各介護事業所、訪問看護ステーションやケアマネージャーとの積極的な連携を持つことも求められます。
 基本的な目標として、第一に対象の身体・心理・環境の側面に対して、健康問題をライフサイクルの視点から総合的に捉えること、第二に対象のニーズに基づき、必要な医療情報・福祉情報を正確かつ迅速に収集・分析すること、第三に専門性の発揮と関連職種との連携によって健康的な生活を整えるプランを提供することが掲げられています。実際に臨床に関わる人材像としては、(1)多職種協働型の在宅医療・介護システムづくりを推進するコーディネーター、(2)個人・家族・社会の健康を包括的に支える学際的アプローチの企画・管理者、(3)ライフサイクル対応型の健康増進を担う保健医療・行政職、(4)保健医療の実践改革につながる臨床疫学研究と健康増進モデル開発を担う研究者などの分野が求められます。
・THPとしての課題
 現在、THP=トータルヘルスプランナーと言う概念自体が定着していないのが現状であります。そのため社会におけるの認識を向上していくための活動が求められます。THPと言ってもケアマネージャー同様に様々な職種から形成されているため、THPとして共通してどのようなことが実施できるかが重要であります。また、その中で、専門職種としての能力も発揮していけることが求められています。今まで専門職種として捉えていた患者様像は、非常に狭い中での患者様像であり、実際は時間的な経過や周囲の環境と患者様を取り巻いているすべてのものを評価し、判断していく必要があります。その中で最良と考えられるプランを患者様・家族様に提示して検討を重ねていく必要があります。そのためTHPは、患者様にとって良き聞き手でもあり話し手である必要があります。
 また、THPの役割として行政の動きを理解し、制度を活用できるだけでなく、何が医療福祉の現場に必要かも訴えていく必要性も考えられます。そのため、地道な活動と共にTHPの働きを広く周知していくことも重要であります。名古屋大学で現在行われている、ライフトピア構想などは、その一環として非常に重要な意味をもつと考えられます。
 THPは、これからの自分たちの活動や働きかけによって変化してくるため、その行動に責任をもっていくことが重要であります。そのために日々自らできる努力をしてくことが大切であります。


名古屋大学大学院医学系研究科  トータルヘルスプランナー(THP)養成コース
〒461-8673 名古屋市東区大幸南1-1-20