専攻紹介

専攻の概要

 作業療法学は、人間の体や病気の知識をベースとして持ちながら、人間の生活を科学的に分析し、障害のある方の支援へと応用する学問です。その蓄積は、様々な作業活動を介し、社会生活を制限する障害を改善・軽減することや生活環境の調整によって、心や体に障害を持つ方々が、その人らしい社会生活を営むための支援や援助という形で、社会的ニーズの高い保健・医療・福祉の領域に大きく貢献しています。
 人間の毎日の生活の遂行には、たくさんの要素が関連しています。手や足などの体が十分に動くことだけではありません。何かをやろうとするモチベーションや、集中力、判断力など脳や心の働きは大きな影響を及ぼします。

さらにその人を取り巻く人間関係や、どんな場所で生活しているか、文化や生活習慣、これまでの経験、興味や関心、大切にしていることは何か、そしてどんな目標や希望、夢を持っているか、このような要素がお互いに影響を及ぼし合いながら、その人の生活を構成しています。すなわち、私たちの何気ない生活は、自己内外のたくさんの要素によってできあがったその人固有の特別なものであり、非常に複雑で奥深いものです。
 そのため、病気や障害によって困難になってしまった生活を支援するためには、その人の生活を構成する様々な要素を科学的に分析・評価・支援する技術や知識が必要であることは言うまでもありません。作業療法は身近な生活(作業)を中核としながらも、基礎医学・臨床医学をベースに、脳科学から、運動学、人間発達学、心理学、福祉工学、社会学まで非常に幅広い内容を取り扱う多彩で魅力的な学問です。

名古屋大学の作業療法学専攻では多彩な教員と熱意のある学生によって様々な視点から人間の生活や支援を捉え、探求する学問が行われています。そして研究と開発を通して、障害を科学的に分析・評価する能力と医療技術の情報化に対応し国際的活躍ができる能力を育て、かつ作業療法学の探求と発展を通して、世界や日本をリードできる人材を育成しています。

なお、本学作業療法学専攻は世界作業療法士連盟(The World Federation of Occupational Therapists: WFOT)が指定する作業療法士教育の基準をクリアし、WFOT認定校として登録をされています。(※有効期限:2023年12月31日まで)